企業・中小企業のホームページ作成|目的別の構成と注意点

企業・中小企業のホームページは、会社の存在を示すだけでなく、事業内容、取引条件、問い合わせ先、採用情報などを正確に伝え、社内で更新できる状態にすることが重要です。見た目だけを整えても、情報の責任者と更新手順がなければ信頼性を保てません。

ここでは企業サイトの目的、基本ページ、掲載情報、問い合わせ導線、制作方法、公開後の運用と社内ガバナンスまでを一つの流れで整理します。業種固有の要件は各業種ページへ分けます。

目次

企業サイトは信頼性と行動導線を中心に設計する

企業サイトの中心は、訪問者が運営主体と提供内容を確認し、次の行動を選べることです。会社名、所在地、代表者、連絡先、事業内容、対応範囲、必要な許認可・表示などを、実態と一致させます。

ここで意識したいのが、企業サイトを見る人の状況です。検索や紹介、名刺、取引先経由などで会社名を知った人が、取引前の確認のために訪れるケースもあります。新規の問い合わせを集めるだけでなく、取引判断に必要な情報を確認できることも企業サイトの重要な役割です。

そのため、次の順で情報を確認できる構成にします。

  1. どんな会社か(実在する事業者だと分かる)
  2. 何を提供しているか(自社が求めているものと合うか)
  3. どんな条件か(対応地域、料金の考え方、対象外の条件)
  4. どう連絡するか(窓口、受付時間、返信の目安)

問い合わせ、資料請求、来店、応募など、対象者ごとの行動導線は分けます。すべてのページに同じボタンを置くのではなく、そのページを読み終えた人にとって自然な次の選択肢を示してください。

たとえば、採用ページを読んでいる人に「サービスのお問い合わせはこちら」と案内しても意味がありません。逆に、サービスページの末尾に採用の案内があると、判断の流れが途切れます。

企業・中小企業がホームページを持つ目的

会社と事業の信頼性を確認してもらう

取引の前に、会社の実在性、事業内容、対応地域、実績、問い合わせ方法を確認できるようにします。

装飾を凝るより、情報が正確で最新であることの方が、信頼には直接つながります。特に次のような状態は、見た目が整っていても不安を与えます。

  • 移転前の住所や、退任した代表者名が残っている
  • 終了したサービスのページが公開されたままになっている
  • お知らせの最終更新が数年前で止まっている
  • 電話番号やメールアドレスが古く、つながらない

3つ目は見落とされがちです。更新が長期間止まっていると、訪問した人が現在の営業状況を判断しにくくなることがあります。頻繁に更新できないのであれば、無理にお知らせ欄を設けず、変わりにくい情報を中心に構成する方法もあります。

商品・サービスを理解してもらう

対象者、解決する課題、提供範囲、利用の流れ、料金の考え方、よくある質問を整理します。

ここで最も起きやすいのが、社内向けの説明をそのまま載せてしまうことです。社内では通じる用語や略語も、初めて比較する人には伝わりません。

書き終えたら、次の点を確認してみてください。

  • 業界で働いていない人が読んで、何を頼める会社か分かるか
  • 自社が対応できない条件(対象外の地域、規模、業種)を書いているか
  • 料金の目安か、少なくとも「どう決まるか」を示しているか
  • 問い合わせから納品までの流れが分かるか

2つ目の「対応できない条件」は、書きたくない項目かもしれません。しかし、これを書いておくと、条件の合わない問い合わせが減り、対応する側の負担も軽くなります。読む側にとっても、早い段階で判断できる方が親切です。

問い合わせ・商談・採用につなげる

問い合わせの前に必要な情報と入力項目をそろえ、受信したあとの対応方法を決めます。

採用は、事業の問い合わせと混ぜないでください。目的も、読む人も、必要な情報も違います。仕事内容、条件、選考の流れ、応募先を分けて用意します。

フォームを1つにまとめて「お問い合わせ種別」で分岐させる方法もありますが、次の点に注意してください。

  • 受信するメールアドレスを、種別ごとに分けられるか
  • 営業の売り込みと、見込み客からの相談を見分けられるか
  • 応募者の個人情報が、事業の問い合わせと同じ場所に保存されてよいか

特に3つ目は確認しておきましょう。採用の応募には、履歴書に準じる情報が含まれることがあります。誰が閲覧できる状態にするかを、あらかじめ決めておいてください。

企業サイトに必要な基本ページ

基本の候補は、トップ、事業・サービス、会社情報、実績または選ばれる理由、よくある質問、お知らせ、採用、問い合わせ、そして必要な方針ページです。

ただし、これらをすべて作る必要はありません。サイトの目的に不要なページは作らず、読者の疑問に答える単位で分けてください。更新できない空ページが増える方が、信頼を損ないます。

各ページの役割は次のとおりです。

スクロールできます
ページ主な役割読者が確認すること更新のきっかけ
トップサイト全体の案内どんな会社で、どこへ進めばよいか方針や主要サービスの変更時
事業・サービス提供内容と条件の説明何を頼めるか、対象に当てはまるかサービスや料金の変更時
会社情報運営主体の確認実在する会社か、誰が代表か移転、代表者・役員、連絡先などの変更時
実績・選ばれる理由判断材料の提供自社と近い事例があるか案件完了時(掲載許可を得たあと)
よくある質問問い合わせ前の疑問解消自分の条件で依頼できるか同じ質問が繰り返されたとき
お知らせ活動していることの提示現在も動いている会社か随時(更新できる体制がある場合のみ設置)
採用応募条件の提示仕事内容、条件、選考の流れ募集の開始・終了時
問い合わせ連絡手段と受付条件の明示どう連絡し、いつ返信が来るか窓口や受付時間の変更時

トップページは、会社の説明をすべて載せる場所ではありません。サイト全体の案内役として、訪問者を適切なページへ送る役割に絞ります。

右端の「更新のきっかけ」は、公開後の運用を考えるうえで重要です。特に「お知らせ」は、更新できる体制があるかを確認してから設置してください。継続して更新する体制がない場合は、無理に設置しない選択もあります。

掲載情報の正確性と根拠をそろえる

会社情報は、登記、契約、実店舗などの正式な情報と照合します。サイトを作るときに一度確認して終わりではなく、変更があったときに直せる状態にしておくことが大切です。

数値を使う場合は、特に注意が必要です。実績、導入件数、満足度、順位、効果などを載せるなら、次を示せるものだけにしてください。

  • 対象:何を数えたのか(契約件数か、問い合わせ件数か)
  • 期間:いつからいつまでの数字か
  • 集計方法:どうやって集めたか(アンケートなら回答数と回収方法)
  • 確認日:いつ時点の数字か

「創業以来◯◯件」といった累計の数字は、期間を書いておかないと実態が伝わりません。また、一度載せた数字は古くなります。更新するのか、期間を明記して据え置くのかを決めておきましょう。

顧客名やロゴを実績として掲載する場合は、契約や利用条件を確認し、必要に応じて掲載許可を得てください。掲載してよい範囲(社名まで/業種のみ)、掲載期間、取引が終わったあとの扱いも確認します。

価格については、税込か税別か、どこまでが対象範囲か、追加費用が発生する条件、価格を変更した日を確認します。業界の規制や専門的な表示が関わる場合は、所管の官庁や業界団体の最新情報を確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。

問い合わせにつながる導線を作る

各ページで、読者が次に知りたい内容へ内部リンクを置きます。サービスの対象外条件を確認したあとに問い合わせ、会社情報のあとに事業内容、採用情報のあとに応募方法というように、内容と行動をつなげます。

フォームは、入力項目を必要最小限にします。項目が増えるほど入力の負担も増えるためです。最初の問い合わせで本当に必要な項目だけに絞り、詳しい内容は返信のやりとりで確認する形にしておきましょう。

設置したら、次を決めておきます。

  • 送信先のメールアドレスと、担当者不在時も確認できる運用
  • 自動返信の文面と、返信の目安(「2営業日以内」など)
  • 受信した内容の保管場所と、閲覧できる人
  • 担当者が不在のときに、誰が対応するか

そして、送信ボタンが動くかどうかだけでなく、実際に受信して担当者が対応できるかを定期的に試してください。サーバーの仕様変更やシステムの更新をきっかけに、気づかないうちに届かなくなることがあります。

問い合わせの不達に気づけるよう、運用頻度に合わせて定期的に送信テストを行ってください。たとえば月次の点検日に、フォーム送信から受信・通知までを一度確認する方法があります。

自作と外部依頼を選ぶ

更新が少なく機能が単純で、社内担当者が時間を確保できるなら自作が候補です。複数部門の調整、独自デザイン、撮影、システム連携、移行が必要な場合は外部支援を検討します。

外部へ依頼しても、会社情報と原稿の正確性、社内承認、アカウント管理は自社の役割です。設計、原稿、デザイン、実装、公開、保守について自社と外部の担当を分けます。

公開後の更新体制を作る

ページごとに、情報の責任者、更新担当者、承認者を決めます。会社情報、サービス、価格、採用、実績、お知らせでは、更新のきっかけがそれぞれ異なります。

ここで最も多い問題が、「変わったことをWeb担当が知らない」という状態です。料金を変えた部署、住所を移転した総務、採用条件を決めた人事から、Web担当へ連絡が届く手順を作ってください。

点検は、頻度で分けると続けやすくなります。

スクロールできます
頻度点検する項目主な担当
変更が起きたとき会社情報、料金、サービス内容、採用条件、担当窓口情報の責任部署からWeb担当へ連絡
定期的(月1回など)フォームの送信テスト、リンク切れ、重要情報の確認Web担当
年に一度契約、権限、方針ページ、バックアップ、更新記録Web担当と管理部門

更新の作業を一人に集中させないでください。担当者が異動や退職をしたときに、サイトが止まります。原稿の依頼方法、承認の期限、公開した記録の残し方を共通化し、複数人が手順を把握している状態にします。

公開後の運用全般はホームページ作成後のメンテナンスで整理しています。

企業サイトのガバナンスとセキュリティ

ガバナンスという言葉は硬く聞こえますが、内容は単純です。誰が判断し、誰が操作し、どの記録を残すかを決めることを指します。

まず、契約とアカウントを台帳にまとめます。対象は、ドメイン、サーバー、作成ツール、アクセス解析、フォーム、その他の外部サービスです。

それぞれについて、次を記録します。

  • 契約名義(会社名か、個人名か)
  • 管理者(誰がログインできるか)
  • 支払い方法と、契約の更新日
  • パスワード再設定に使う連絡先

特に注意したいのが、担当者個人のメールアドレスでドメインを管理している状態です。その人が退職・異動すると、更新の通知が誰にも届かず、期限切れでサイトが表示されなくなることがあります。

権限は、担当者ごとに必要な範囲だけを付けます。共有アカウントを1つ作って全員で使い回すと、誰がいつ何を変更したのか分からなくなります。あわせて、退職・異動時に誰が権限を削除するのかも決めておいてください。

バックアップ、ソフトウェアの更新、障害時の連絡、委託先との契約が終わったときのアカウント返却も、運用の規程へ含めます。中小企業向けの基本対策はIPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインで最新情報を確認できます。

業種別に追加する情報

業種によって、必要な表示、問い合わせ前の情報、写真、予約・応募導線が異なります。業種ページは共通テンプレートの置き換えではなく、利用者が判断する固有情報を追加するために使います。

失敗しやすい企業サイト

企業サイトでよくある失敗は、内容に関するものと、管理に関するものに分かれます。

内容に関する失敗

  • 会社案内のPDFだけを置く:PDFもGoogle検索のインデックス対象になり得ますが、PDFだけではスマートフォンでの読みやすさやサイト内の導線を設計しにくくなります
  • 専門用語だけで事業を説明する:業界の外にいる人が、何を頼める会社か判断しにくくなります
  • 問い合わせ先の役割が分かりにくい:部門ごとの窓口が整理されていないと、どこへ連絡すればよいか判断しにくくなります
  • 更新が必要な情報が古いまま:料金、採用条件、連絡先などが現状とずれると、訪問者の判断を誤らせるおそれがあります

管理に関する失敗

  • 制作会社だけが管理者のまま契約が終わる:自社で更新・移行に必要な権限を確保できないおそれがあります
  • 個人のメールアドレスだけでドメインを管理する:担当者の退職・異動時に、更新通知や復旧手順を引き継げないおそれがあります
  • 担当者の退職後もアカウントが残る:不要なアクセス権限が残り、セキュリティ上のリスクになります

管理に関する失敗は、公開直後には表面化しません。数年後、担当者が変わったタイミングで問題になります。サイトの所有と運用に必要な情報を、自社でいつでも確認できる状態にしておいてください。

よくある質問

中小企業のホームページには何ページ必要ですか

一律のページ数はありません。会社情報、事業・サービス、問い合わせなど、読者が判断する必須情報から始めます。目的と情報量が異なる内容は分け、更新できない空ページを増やさないようにします。

企業サイトは自社で更新できますか

作成方法と権限を整えれば更新できます。文章・画像の変更担当、承認者、公開記録、バックアップを決め、実際の更新手順を納品時に試します。技術保守だけ外部へ任せる分担も可能です。

信頼感のあるデザインにするには何が必要ですか

装飾より、会社情報と事業内容が正確で、読みやすく、問い合わせ先が分かり、古い情報が残っていないことが基本です。実績や数値は根拠を示し、写真とロゴの利用許可も確認します。

料金を載せた方がよいですか

金額を出せない事業でも、「どう決まるか」は書けます。何によって変動するのか、最低料金を示せるか、無料で相談できる範囲はどこまでかなどを示すと、読者が判断しやすくなります。価格情報がまったくない場合は、予算感の合わない問い合わせが生じることもあります。載せる場合は、税込・税別の別、対象範囲、追加費用の条件、価格の基準時点を分かる形にしてください。

お知らせやブログは更新し続けないと意味がありませんか

更新できないのであれば、無理に設置しない方がよい場合があります。長期間更新されていないお知らせ欄は、現在の状況を判断しにくくすることがあります。更新の担当者と頻度を決められないなら、変わりにくい情報を中心に構成し、体制が整った段階で追加する方法もあります。

まとめ

企業・中小企業のホームページは、会社と事業の信頼性を示し、問い合わせ・商談・採用などの行動へつなげる構成にします。基本ページは役割で分け、会社情報、提供条件、実績などを正式な情報と照合してください。

装飾だけでなく、情報の正確さと更新状況も信頼を判断する材料になります。数値を載せる場合は、対象、期間、集計方法、確認日を説明できるものを使ってください。

公開後は、ページごとの責任者、更新担当、承認者を決め、契約・権限・フォーム・バックアップを管理します。変更が起きた部署からWeb担当へ連絡が届く手順を作っておくと、情報が古いまま残る事態を防げます。

業種固有の表示や導線は各ガイドで追加し、サイト全体の所有と運用は自社で確認できる状態にしてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

筆者・監修者

STARRY代表。Webデザイナー・SEOコンサルタントとして、WordPressによるホームページの新規制作、リニューアル、サイト移転、SEO対策、運用改善に携わる。19年以上のWeb制作経験をもとに、初心者にも分かりやすく、実際のサイト運営で役立つ情報を監修・執筆している。ランサーズでは、Webデザイナー分野のパッケージ売上全国1位をはじめ、上位実績を多数獲得。

監修・執筆者のプロフィール詳細を見る>>

目次