NPO法人のホームページは、活動を知りたい人、支援を受けたい人、寄付・会員・ボランティアを検討する人、協働先が、団体の目的と実態を確かめる場所です。理念だけでなく、誰に、どこで、何を行い、資金や成果をどう報告しているかを分かりやすく示します。
「NPO」は広い呼び方で、法人格のない任意団体も含まれます。特定非営利活動法人である場合は、法人名、所轄庁、法人情報を正式資料と一致させ、単なる活動グループと混同させないことが信頼の土台です。
利用者・支援者・参加者が知りたい情報を分ける
NPO法人のサイトには、立場の違う複数の読み手が訪れます。それぞれ知りたいことが違うため、同じページへ情報を詰め込みすぎると、必要な情報を探しにくくなります。
| 読み手 | 知りたいこと | 主に見るページ |
|---|---|---|
| 支援を利用したい人 | 対象、地域、費用、申込条件、相談先、対応できない場合 | 支援案内、問い合わせ |
| 寄付を検討する人 | 使途、活動実績、会計、法人の認定状況、寄付の方法 | 活動報告、会計情報、寄付 |
| ボランティア・会員 | 役割、日程、負担、必要な経験、参加方法 | 参加案内 |
| 協働先・助成元 | 目的、運営体制、実績、法人情報 | 団体情報、事業報告 |
トップページにすべてを詰め込まず、「支援を利用する」「活動を知る」「寄付・参加する」「団体情報を見る」という入口を分けます。訪問した人が、自分に関係のある入口を選べる状態にしてください。
特に注意したいのが、支援を利用したい人への案内です。困っている状況で訪れる人にとって、探しにくい構成は負担になります。表の1行目の情報は、できるだけ少ないクリック数でたどり着けるようにしてください。
組織サイトの一般的な項目は企業・中小企業のホームページ作成へ分け、ここではNPO固有の透明性と参加導線を扱います。
法人情報・目的・活動内容を正式資料と一致させる
法人名・所在地・連絡先・所轄庁
正式な法人名、所在地、代表者、連絡先、設立年月日、所轄庁、法人番号などを、定款、登記、内閣府NPO法人ポータルサイト等と照合します。移転や役員変更があったときは、サイトと外部データベースの反映時期が異なる場合もあるため、確認日を記録します。
目的・活動分野・対象者・地域
定款の目的をそのまま長く転載するだけでなく、一般の人が理解できる言葉で、解決したい課題、対象者、活動地域、主な事業を説明します。ただし、法的な目的や事業名と異なる内容に言い換えないよう、正式文書へのリンクも用意します。
支援利用の条件と相談先
支援やサービスを提供している場合は、対象、費用、利用地域、申込方法、定員、実施日、必要書類、そして対応できない場合を明示します。
「対応できない場合」を書くことは、断りではなく案内です。条件に合わない人が申し込んでから断られるより、最初に分かる方が負担が小さくて済みます。
あわせて、返信までの目安も示してください。次のような書き方があります。
- 受付から返信までの目安(「3営業日以内にご連絡します」など)
- 受付を行っている曜日と時間帯
- 返信が届かない場合の連絡先
特に重要なのが、緊急の相談を受けられない場合の案内です。フォームからの相談は、すぐに読まれるとは限りません。活動分野に応じて緊急時に利用できる公的・専門窓口がある場合は、最新の連絡先と受付条件を確認したうえで案内してください。
この案内は、支援案内ページだけでなく、問い合わせフォームの近くにも置いておくと確実です。
活動実績と会計情報を読み手向けに整理する
活動報告は人数だけでなく内容と期間を示す
イベント回数や支援人数を掲載する場合は、対象期間、集計方法、重複の有無を示します。数字だけを強調せず、何を実施し、どのような課題があり、次年度へどうつなげるかを説明すると活動の実態が伝わります。
事業報告・決算・役員・定款
年度ごとに、事業報告書、活動計算書などの会計情報、役員名簿、定款など、公開する資料をまとめます。
ここで多いのが、PDFファイルを並べるだけの状態です。ファイル名だけが並んでいると、どれを見ればよいか分かりません。次の情報を添えてください。
- 対象年度:いつの年度の資料か
- 資料名:ファイル名ではなく、内容が分かる名称
- 更新日:いつ掲載・差し替えたか
- 概要:1〜2行で、何が書かれているか
PDFはスマートフォンで読みにくくなりがちです。容量が大きいと表示に時間がかかり、拡大しないと読めないこともあります。可能であれば、主要な数字や活動の概要はWebページ上のテキストとしても掲載し、詳細をPDFで補う形にしてください。
あわせて、古い年度の資料をどう扱うかも決めておきます。過去数年分を残しておくと、活動や会計の推移を確認しやすくなります。一覧が長くなりすぎる場合は、直近数年を前面に出し、それ以前は別ページへまとめる方法もあります。
法定の閲覧・提出と自社サイト公開は別に考える
内閣府の案内では、NPO法人は事業報告書等を所轄庁へ提出し、一定の書類について事務所での閲覧に対応する制度があります。一方、自社サイトにどこまで掲載するかは、法定手続と同じではありません。義務と自主的な情報公開を区別し、個人情報を含む書類をそのまま掲載しないよう確認します。
内閣府NPO法人ポータルサイトには所轄庁が登録する情報と法人自身が登録する情報があり、反映に時間差がある場合や、法人入力情報を国が保証するものではない旨も案内されています。自社サイトでは最新の状態と確認日を示します。
寄付・会員・ボランティアの条件を明確にする
寄付の使途・方法・領収書
寄付ページでは、使途、金額の選択肢、単発・継続、決済方法、領収書、キャンセル・返金、問い合わせ先を説明します。外部決済サービスを使う場合は、利用者が別事業者へ移動すること、手数料、個人情報の取扱い、障害時の連絡先を確認します。
税制上の案内は法人の認定状況を確認する
寄付が税制上の優遇対象になるかは、寄付先の法人区分や認定状況、寄付者の条件で異なります。国税庁は認定NPO法人等への寄附について控除の仕組みを案内していますが、すべてのNPO法人への寄付に同じ扱いがあるように書かないでください。認定の有効期間と必要書類を確認します。
会員・ボランティア・イベント
会費、会員の区分、議決権、活動の頻度、交通費や保険の扱い、研修の有無、必要な経験、未成年者の参加条件、イベントの定員や中止の条件を明示します。
「誰でも歓迎」と書くだけでは、参加を検討する人が判断できません。むしろ、実際の役割と負担を具体的に書いた方が、参加したあとのミスマッチを減らせます。
書いておきたいのは、次のような点です。
- 時間の負担:1回あたり何時間か、月に何回程度か
- 体力的な負担:立ち仕事か、荷物を運ぶか、屋外か
- 費用の負担:交通費は自己負担か、実費支給か
- 継続の条件:単発で参加できるか、一定期間の継続が必要か
- 保険:団体で加入しているか、個人で用意する必要があるか
未成年者が参加する場合は、活動内容や年齢に応じて、保護者同意の要否、送迎の扱い、緊急時の連絡方法を確認し、必要な事項を案内してください。
イベントについては、定員に達した場合の対応、中止する条件(天候など)、中止の連絡方法を先に決めておくと、当日の混乱を避けられます。
写真・支援記録・個人情報を慎重に扱う
支援対象者の尊厳と安全を優先する
子ども、疾病・障害、生活困窮、被災、DV、外国人支援などでは、写真やエピソードから本人や居場所が特定される危険があります。本人・保護者の同意だけでなく、公開が将来不利益にならないか、活動説明に本当に必要かを検討します。
寄付者・会員・相談者の利用目的を分ける
寄付、会員申込、ボランティア、支援相談、メール配信で取得する情報は、利用目的が異なります。一つの同意で広く利用せず、必要な項目、保存期間、閲覧者、外部委託、配信停止を分けて説明します。フォーム一般は問い合わせ・寄付など必要な機能で確認できます。
活動写真・文章・ロゴの権利
参加者、職員、講師、協働先、撮影者の同意と権利を確認します。助成元・協働先のロゴは、ガイドラインや掲載期間を確認し、現在も支援を受けているように誤解させない更新が必要です。
少人数でも年度更新を続けられる体制にする
NPO法人のサイトは、年度単位で更新が集中します。毎日発信することより、基本情報を期限内に正確に直すことを優先してください。
更新の時期と担当を、年間の予定として決めておくと続けやすくなります。
| 時期 | 更新する内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 年度の決算・報告が確定したあと | 事業報告、決算などの会計情報、役員名簿 | 正式資料と一致しているか、個人情報が含まれていないか |
| 年度の初め | 事業計画、年間の活動予定 | 前年度の記載が残っていないか |
| 随時 | イベント告知、活動報告、助成事業の記載 | 終了した告知が残っていないか |
| 年に一度 | ドメイン、サーバー、決済、SNS、解析の契約と権限 | 名義、管理者、更新日、復旧先の連絡先 |
特に確認したいのが、3行目の「終了した告知が残っていないか」です。終わったイベントの募集が掲載されたままだと、訪問した人が混乱します。告知を出すときに、いつ下げるかもあわせて決めておきましょう。
アカウントの管理にも注意が必要です。代表者個人のメールアドレスや私物のアカウントだけで管理していると、退任時に引き継げないことがあります。ドメイン、サーバー、決済、SNS、解析について、名義、管理者、復旧の方法を法人として記録し、複数人で安全に引き継げるようにしてください。
一般的な更新体制はホームページの保守・更新で整理できます。
予算が限られる場合は、活動の概要、支援の案内、法人情報、最新年度の報告、寄付・参加の方法、問い合わせを優先してください。月額費用を含む維持コストはホームページの月額費用・維持費で別に比較できます。
制作会社・制作者を選ぶ確認項目
華やかなデザインより、年度資料を追加しやすく、少人数で権限を引き継げることを重視します。寄付決済や会員管理を追加する場合は、手数料、契約名義、データ出力、解約後の扱いも確認します。
- 法人情報と活動内容を正式資料から整理できるか
- 事業報告・会計資料を年度別に追加しやすいか
- 寄付・会員・支援相談の個人情報を分けて管理できるか
- 写真掲載の同意と支援対象者の安全を確認する工程があるか
- 担当者交代時にアカウントとデータを法人へ引き継げるか
よくある質問
- NPO法人は事業報告書を自社サイトに必ず載せる必要がありますか?
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所轄庁への提出や事務所での閲覧などの法定手続と、自社サイトでの公開は同じではありません。法人区分、所轄庁、書類の内容を確認し、義務と自主的な情報公開を分けて判断してください。
- NPO法人への寄付はすべて税金の控除対象ですか?
-
すべて同じではありません。認定NPO法人等への寄附には国税庁が控除制度を案内していますが、法人の認定状況、寄付の時期、寄付者の条件などで異なります。認定の有効期間と公式情報を確認します。
- 活動写真に顔が写っていなければ掲載してもよいですか?
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服装、背景、場所、文章の組合せから本人を特定できる場合があります。顔だけで判断せず、本人・保護者の同意、支援対象者の安全、将来の不利益、撮影者の権利を確認してください。
- 少人数の団体ですが、どのページから作ればよいですか?
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優先度が高いのは、活動の概要、支援を利用したい人への案内、法人情報、最新年度の活動・会計情報、問い合わせです。寄付やボランティアを募集する場合は、その参加方法も優先します。最初からページ数を増やしすぎず、重要な情報を正確に公開し、期限内に更新できる構成から始めてください。
- 寄付の決済に外部サービスを使う場合、何を確認すればよいですか?
-
利用者が外部の決済サービスへ移動する場合は、そのことが分かるよう案内します。あわせて、手数料の負担、個人情報の取り扱い、領収書の発行方法、障害時の連絡先、契約名義、データの出力方法、解約後の扱いを確認してください。代表者個人だけに依存した契約や管理にせず、団体として引き継げる名義・権限・復旧方法を記録しておきましょう。
まとめ
NPO法人のホームページでは、法人の正式情報、目的、活動、実績、会計、寄付・参加方法を、利用者と支援者が確認できる形で示します。法定の提出・閲覧と自社サイト公開を混同せず、認定NPOの税制案内も法人の状況に合わせます。支援対象者の写真と個人情報を慎重に扱い、年度更新とアカウント引継ぎを少人数でも続けられる体制にしましょう。